物忌み

出雲以外の土地では十月を神無月というのは、これもまた新嘗祭のために忌み龍る、 物忌みの月であったからであろう。

新嘗祭についてでは、収穫した新穀をはじめて神さまに献って、人びともまたそれを神よりの賜りものとしていただく祭りである。

稀は神のみたまの龍った稲魂で、これをいただくことは神賊を身に体するにほかならない。

それゆえ、その祭りのために厳重な忌み龍りをしたのである。

その期間中は爆もくしけずらず、髭もそらず、針もとらず、歌郎音曲はもちろん、高話することさえはばかって日を過ごし、神迎えすることのできる清浄な身心に返ったのである。

十月を神無月というのは、この物忌み月であったからであろう。

山口県下関の忌宮神社や住吉神社では、御斎神事または御斎会と称して、十二月七日より十五日朝まで、神職一同参龍して、その間音響を停止し、夜は門戸を閉ざして灯火の漏洩を防いで、厳重な斎戒に入ることがいまもおこなわれている。

「令」に散斎(あらいみ)、致斎(まいみ)といって、祭りにあたってあらかじめキ を慎しむ期間と程度が定められていたが、 そのもっとも厳重な致斎の神事化したものである。

この両社は十 三月十五日の例祭に関連した行事としておこなわれているが、もともとは新嘗祭のためではなかったかと思われる。

2018年8月19日