神無月と神在月

陰暦十月のことを神無月(かん な づき)という。

日本中の神さま、八百万の神が、出雲に集って、神さまの会議が開かれ、他の地方では神さまは留守になるので神無月と呼ぶのであるという。

出雲では反対に神在(有) 月と呼んでいる。

出雲大社には神有祭というお祭りがある。 大社の御本社ならびに摂社の上宮でおこなわれ、本社の西方にある上宮が会議所で、大社境内の東西十九社が神さまの宿舎ということに なっている。

ここに十月十一 日(陰暦)から十七日までの七日間、 神々の旅社 としておもてなしの祭りが行われる。出雲以外の土地では十月を神無月というのは、これもまた新嘗祭のために忌み龍る。期間中は神さまの会議を妨げてはならないというので、土地の人びとはみな謹慎斎戒し、歌舞音曲を停め、物音もたてずにひっそりと忌み龍ることになっている。

土地の人びとはこれを御忌祭とも呼んでいる。

第八十代出雲国造千家尊統宮司は、神在祭は新嘗祭にそなえて、 社人はもちろん、土地の人びとが斎戒、物忌みにはいる、その始めの祭りであったのではあるまいか、すなわち神有祭から約一か月の長期の物忌みに服した後に新嘗祭を迎えることになるとい うのがこの祭りの原始の姿であったのではあるまいか、と説かれている(「出雲大社」学生社)。

出雲大社ではこの神有祭の後、新答祭がおこなわれる。

古伝新誉祭といい、一般神社でおこなわれているのと同様の新嘗祭とは別に、同社独特の古例による祭りである。

神在祭は畢寛この新嘗祭のための物忌みの祭りにほかならない。

2018年8月19日